〜インターステラーと不思議の国のアリスを通して垣間見る、5次元のパラレルワールドの世界〜 第1弾

日本庭園、漆塗りの器、火の鳥、そしてジブリ映画『君たちはどう生きるか』など、これらの作品が表象するメタ的な文化は、テクノロジー、文化、伝統、革新、そして自然がパラレルに共存する世界を描き出しています。
(※メタ: 高次の、超越した、自分の認知過程を認識すること)

しかし、「パラレルワールド」や「高次元」という言葉を耳にしても、すぐにイメージが湧かない方もいるかもしれません。そこで今回は、時空間の世界観を巧みに表現している2作品をご紹介します。それが、ディズニー映画で有名なルイス・キャロル作『不思議の国のアリス』と、映画『インターステラー』です。

https://vegalleries.com/art/walt-disney/2575/alice-in-wonderland-1951/alice-in-wonderland-production-cel-id-septwonderland17149

 

「ダウン、ダウン、ダウン」

アリスもまたクーパーと同様に黒い穴の内部をひたすら落下していく。

アリスは自由落下を「のろい」と感じた。

クーパーもまた落ちてゆく。ゆっくりと。

確実に加速していく。

それでもなお「のろい」と感じる。

なぜ?

それは、時差のせいではなく

【重量で生じる時空の歪み】のせい。

https://note.com/nyalra2/n/n7c56aa9857c8

日常の感覚が根底から崩壊する世界を想像しようとするとき、必ず取り上げられるファンタジー作品の一つが『不思議の国のアリス』だと言われています。

 

今回お届けする連載の第一弾では、

テーマ「〜インターステラーと不思議の国のアリスを通して垣間見る、5次元のパラレルワールドの世界〜」として、「ファンタジーのおきて」と「パラレルワールド(次元)」について探ります。次回以降は、アインシュタインが提唱した「重量から生じる空間の歪みとワンダーランド」についても取り上げます。

https://www.alice-in-wonderland.net/resources/pictures/alices-adventures-in-wonderland/

 

〜『不思議の国のアリス』と映画『インターステラー』と量子力学〜

この記事を読んでくださる皆さまの中には、「3次元」や「5次元」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。 「〜次元」とは、物理的世界と精神的世界を統合した宇宙の世界観を指します。

普段、私たちが生活している物質世界は3次元―縦、横、高さのある空間です。物質的でありながら、構造的に成り立つ社会です。 一方で、5次元は映画『インターステラー』でクーパーが最後にたどり着いた本棚のある宇宙空間のように、過去、現在、未来の時間概念が存在しない不思議な空間です。 別名、「ワンネスの世界」とも呼ばれ、過去も未来もなく、時間の流れさえ一定ではない世界を指します。

量子力学的な視点から見ると、アインシュタインはこれを「愛ある意識体の世界」と表しています。 この未知なる次元への旅のヒントを得るために、今回は『不思議の国のアリス』、映画『インターステラー』、そして次回以降は量子力学に焦点を当ててみます。

alice-in-wonderland

 

〜ファンタジーのおきてについて〜

量子力学などの理論から次元の世界を理解しようとすると、どうしても難しく感じてしまうかもしれません。 しかし、ファンタジーの世界では、一つの次元にとどまらず、様々な次元を行き交う描写が巧みに表現されています。

では、なぜファンタジーの世界ではこのような次元の旅が描写可能なのでしょうか? まず、次元そのものを量子力学の視点から考えるのではなく、【ファンタジーのおきて】という文学的な視点からアプローチしてみたいと思います。

これを通じて、次元やパラレルワールドへの理解を深めるヒントになれば幸いです。

 

https://www.gla.ac.uk/postgraduate/taught/fantasy/

 

ファンタジー作品には、特有の「おきて」があると言われています。その代表例が次の2つです:

【1】主人公が自分の名前を忘れ、アイデンティティクライシスを抱えながら物語が展開される。 最終的に、主人公は試練を乗り越え、自身の名前を取り戻す。

【2】主人公が異なる次元を彷徨い、様々なドラマを通じて気付きを得て、元の世界に戻る。

これらの要素は、『千と千尋の神隠し』や『鏡の国のアリス』(『不思議の国のアリス』の続編)などのファンタジー作品にも共通して描かれています。

 

【1】ジブリ作品『鏡の国のアリス』と『千と千尋の神隠し』 『鏡の国のアリス』という作品は、『不思議の国のアリス』の続編で、あまり知られていないかもしれませんが、オックスフォード大学の数学者である作者ルイス・キャロルが手掛けたものです。この物語では、主人公アリスがチェスの駒となってゲームの中を進むというユニークな設定が描かれています。

https://wonderland.fandom.com/wiki/Fawn

 

『鏡の国のアリス』第3章では、「名無しの森」と呼ばれる場所に入ると物の名前を忘れてしまう場面が描かれています。そこでアリスは可愛らしい仔鹿に出会います。仔鹿との出会いによって、アリスは自身の名前を忘れてしまいます。森の中で仲良くなり、一緒に歩くのですが、「名無しの森」を抜けるとアリスは「自分が人間であること」と「自分の名前がアリスであること」を思い出します。その瞬間、仔鹿は逃げてしまいます。 ちなみに、この作品の解説では、仔鹿はアリスと同じチェスの白の歩(ポーン)と説明されており、歩(pawn)と仔鹿(fawn)の韻を踏んでいるとも言われています。

参照:鏡の国のアリスのキャラクター:Wiki

 

一方、ジブリ作品 『千と千尋の神隠し』では、湯婆婆が千尋の名前を奪い、支配しようとします。しかし、千尋は物語の中で忘れかけていた名前を途中で思い出します。この名前を奪われ、取り戻す過程は、自己認識やアイデンティティの確立に深く関係しているというテーマが、この作品の中で巧みに描かれています。

https://naruhoudou.com/

【2】多次元への旅

これは『ロード・オブ・ザ・リング』、『となりのトトロ』、『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』など、多くのファンタジー作品で共通して描かれていますね。

聖地巡礼

 

https://front-row.jp/_ct/17567940

 

〜次元の世界って何?〜

では、「次元」とは一体何なのでしょうか?

次元の世界は何で構成されているのでしょうか?

 

アリスは不思議の国のワンダーランドへ行き、またクーパーは5次元の世界へ到達することで、次元の旅に出ます。 アリスが飛び込んだ不思議の国の世界は、「一つの世界として統合される基準やルールが何一つ存在しない世界」でした。 論理さえ崩壊し、言語で構築された破茶滅茶な世界です。

このワンダーランドの混沌とした世界に足を踏み入れたことで、アリスは「curiouser curiouser」と言いながら真理を探る【考える存在(考える葦)】となり、多次元へ向かう第一歩を踏み出しました。 したがって、ワンダーランドそのものが多次元になるというより、アリス自身が多次元の【気付きの世界に入る段階】に達したと表現する方が正確かもしれません。

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5次元とは?

辞書によると、次元とは

【次元について】数学で、一般的な空間の広がり方の度合いを表すもの。座標の数で表される。

※5次元とは、空間の次元が5つ存在する空間、またはその概念を指します。一般的に私たちが認識しているのは、縦・横・高さのある3次元空間に時間を加えた4次元ですが、5次元はさらに異なる次元が加わった空間です。物理学の分野では、超弦理論などで10次元や11次元といった高次元空間が考えられ、その一部として5次元が登場することもあります。

超ひも理論

 

〜普段、私たちが住む物質社会が3次元とすると、5次元の世界はどうやっていくのでしょうか?〜

実は、物理学の世界において、次元を越える旅であるパラレルワールドを移動する鍵は【重力】にあるとされています。 冒頭で少し触れた、重量から生じる空間のゆがみがアインシュタインの提唱した「ワンネスの世界」と「愛ある意識体の世界」へつながるのです。

ただし、この内容を一度に説明することは難しいため、次回以降の連載でアインシュタインの空間の歪みに関する深い話題を取り上げたいと思います。

3次元と5次元を行き来するファンタジー世界の「おきて」を理解した上で、森羅万象の世界観やアリス、そしてクーパーなどをメタ認知してみると、 それは、【パラレルワールドの高次元の時空間を旅しながらも、進化し続けるあり方―つまり「ウェルビーイング well-being」の概念】と言えるかもしれません。

ここでいう Well-being とは:

【Well】進化すること・次元移動すること

【Being】精神と肉体のバランスを保ち、調和しているあり方

 

参考文献:150年目の『不思議の国のアリス』青士社