2021年12月9日に代官山メゾン ポール・ボキューズにて、記念すべき未来人間フォーラムジャパン第1回目のイベントが開かれました。NEC初代のスパコンを担当し、NASAのコンピュータシステム技術サポートに従事した久保江 勝二氏による、講演会兼晩餐会を催しました。

 

 

スパコンがDesktopになる時代がきた!

久保江氏に、「2040年までに開発すべきコンピュータ」 進化していくコンピュータシステムのご紹介!というテーマで、ご登壇いただきました。
久保江氏は、2021年11月にDesktop型スーパーコンピュータ 1号機を開発し、NEC SX Aurora TSUBASAとNVIDIA A100を搭載している多機能なDesktop型スーパーコンピュータを完成させました。

開発したきっかけは、もはや巨大システムのスーパーコンピューターが必要な時代ではなくなっているそうです。久保江氏が「使いやすいマシンを探したけれど、なかったのでしょうがないから、作ろう」という事になり、NECの森田社長に相談したら、すぐに作ろう!という話になったことが開発のきっかけだそうです。
今後のDesktop型スーパーコンピュータ 1号機の使い道としては、主にパソコンレベルから数段上の利用方法になるそうです。

具体的には…

  1. 気象予報士が、自分で気象予測して、個々の気象情報を提供する地球シュミレータビジネスへの発展と応用
  2. 漁場探索の現場では、Upside社の協力を得て、同社の提供する潮流・風向、波高・過去の漁獲高データなどから AI予測して最適漁場選択を提供する。これは効率よく漁獲高を上げながら、気候変動と付き合っていくためには、最適な開発ですね。

 

進化とテクノロジー 2040年までに開発すべきコンピューター

久保江氏に「今後2040年までに開発されるであろう、コンピューターの進化」に関して量子コンピューター含め、説明していただきました。
医療の分野では、【バイオベッド(医療機器)】というのが既に開発されていて、ベッドに横たわり、レーザーに当てるだけで、体内の病気がすぐに診断されるという新しいタイプのコンピューターの開発が進んでいるそうですよ!
私たちの記憶の中に、未来からやって来た女の子が新しい医療を紹介していた製薬会社のCMが残っているかと思いますが、そうなる未来もそう遠くないのかもしれません。

進化していくコンピュータシステムのご紹介!

 

コンピューターの進化に対する人類のなすべきこと

日本のコンピューター開発の歴史を作って来た、久保江氏は未来人間フォーラムへ、以下のメッセージを残しています。
「人は、機械とは違う」 だから、人工知能で出てきたものは、ものまねである。 そう思いたい・・・でも、今まで聞いたことの無い、見たことも無いものを創りだす可能性は大いにある。
これらを、根底から考えなおさないといけない時代になり、人としての新たな進化の壁と課題が迫っている。
将来、こんなテクノロジーが出現して、人々が受け入れることができないといけないし、子どもたちが本当の意味でのこれらのテクノロジーの使い道を見いだせないといけない!!

 

リベラルアーツ 人を自由にする学び

この講演会と久保江氏の話を聞き、改めて新たな人類のあり方を探るには、リベラル・アーツ的な思考で、自ら考えたり、課題を見つけ出す機会を設けることが大切だと考えました。
リベラルアーツは、西洋のギリシャ・ローマ時代に「自由7科」(文法、修辞、弁証、算術、幾何、天文、音楽の学問)に起源があります。それらの学問のあり方は現在では、欧米の多くの大学では、リベラルアーツの教育形態として実践されています。私がかつて日本語を教えていたDenison大学(アメリカ)も優秀なリベラルアーツの大学でした。
リベラルアーツの大学の生徒は、自分で考え、課題を見つけ、その課題に思考力を伸ばしながら、熱心に取り組んでいくことに長けています。つまり、思考力と探究心で自ら自由(リベラル)にする技を得ているのです。

必ずしも大学の教育現場に限らずですが、今後コンピューターの進化に対する人類の役割とは、自ら思考し、課題を見つけ、その課題に思考力を伸ばしながら取り組んでいくこと。そして、人類が持つ感性や五感などメンタリティーのバランスを思考力とともに絶やさずにいることなのでしょう。

開催にあたり、フランスから社会功労奨励勲章を受勲されたフランス宮廷フラワーブーケ・アーティストである片山様のご協力を賜り、アーモンド代表取締役・ IGPI顧問(経営共創基盤)である松田様やMolcureの興野様などにご参加いただき、会が始まる前には、CDO Club 代表加茂様が応援に駆けつけて下さいました。皆様のご尽力とご協力を賜り、開催することができました。
心より感謝申し上げます。